2019・Christmas(Winter Snow)[list]


01 02 03 04 05
06 07 08 09 10
11 12


はぁ、はぁ、はぁ…


もう日も暮れてしまう、図書館で借りる本を悩んでいたら、すっかり遅くなってしまった。


冬至、十二月は日が暮れるのが早い。


私は悴んだ手で、図書館に寄って借りた、夏目漱石の書籍をきゅっと握り締めた。


…夜になってしまわなくて良かった。


夜は、あの聖夜の出来事を鮮明に思い出して、そうしてまた、どうしても会いたくなって、涙が止まらなくなるから。


私は呼吸を整えて、辿り着いた公園のベンチに座った。


彼、白い少年と心を通わせた、短いけれど、大切な日々。


ねぇ…


今でもずっと、君を想っているよ…


君が天国に召されてからも、そう、ずっと…


目頭がまた熱くなる。


あの日の出来事は、常識では計り知れない、不思議な奇跡…


その事を忘れた日は片時もなかった。


生きてください…。


あの言葉を聞いて、全ての価値観が変わった。


それまでは自分自身の事なんて…


親の言う通りに生きて、楽しみなんて殆どなくて、人生を生きている、そんな実感はなかったから。


私、頑張って生きれているかな…


ぽそりとそんな言葉が漏れた。


この公園の真ん中にある、大きな祈りの木、奇跡を起こす巨樹に向かって、手を組み合わせる。


神様、どうしても、またあの白い天使の少年に、彼に会いたいです…


叶わない願いだとしても…


どうか、お祈りをさせてください…


不意に一瞬、ぶわりと強い風が吹いた。


それは優しくて、それで…


マフラーがその風の勢いで、吹き飛んでしまった。


地面に落ちたマフラーを拾うため、ベンチを立とうとする。


すると突然に後ろから、ふわりとマフラーが再び掛けられた。


え…


アレン君?


何時も貴女を見守っています…


振り向いた先には、誰もいない筈なのに、小さく彼の声が聞こえた気がした。


優しくて、そう、とても温かい…


首元に巻かれたマフラーを確かめて、ぎゅっと抱き締める。


そして私は、ほっこりしながら、あの時みたいに泣き笑いをした。


うん…


何時かまた会えるよね…


その日を、その奇跡を…


私はずっと、ずっと待っているから…


Merry Christmas to You...