第四夜
「アレンくんのことが好き。」
その日の午後、いつものように公園に行った私がそう告げると、彼は泣いた。
細く痩せた身体のどこにそんな力があるのかと思うほど、思いきり私を抱き締めて、彼は声を殺しながら泣いた。
滴り落ちてきた雫が私のコートを濡らす。
どうして涙を流しているのか、その理由は分からない。
だけど、苦しそうに呼吸をし、嗚咽が漏れてしまうのを堪えようとする彼の姿は、とても必死なように見えた。
私は何もできなかった。
腕を振り払うことも、身体を抱き返すことも。
ただ泣きしきる彼にきつく抱き締められることしかできなかった。
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そうして結局、その日の彼は口を閉ざしたままで、打ち明かした想いの答えをくれることはなかった。
†††
それから数日の間、嫌な雨がしとしと降り続いた。
雨雲に覆われたほの暗い空を見ていると、私の気持ちもどんより沈んでいく。
冬の長雨は冷たかった。
身を切る寒さが体を芯まで凍えさせた。
私が想いを告げてから、その明くる日、アレンくんは公園に来なかった。
そして、その次の日も、その次の日も、あそこで彼の姿を見ることはなかった。
それでも私は行った。
学校が終わればすぐ行った。
その次の日も、その次の日も、アレンくんのいた公園(ばしょ)に向かった。
私たち二人が出逢った、あの公園のベンチに座って、彼がまた話しかけてくれるのを待っていた。
もう二度と会えないかもしれない、そんな漠然とした不安が心の際にわだかまる。
どんな結果に終わってしまっても…
そう決意して告白したはずなのに…
胸にぽっかりと穴が開いてしまったようだ。
(私、失恋したんだよね)
けれどそれなら何故、彼は泣いていたの?
あんなにも悲しそうに、声を押し殺して、きつく私を抱いていたのはどうして…―――?
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