Love butler


「お嬢様、遅ようございます。


 このままですと、登校時間に五分程遅れてしまいますが。」


真っ白い髪の男の子、涼しい笑顔の彼はやんわりと言った。


「も〜!何で早く起こしてくれなかったの!?」


「すみません、お嬢様の寝顔がかわいかったので、つい…」


「Σ/////!!!」


…良くそんな恥ずかしい言葉(せりふ)が言えるわね、ほ、本気にしたらどうするのよ。


爽やかに笑う彼は私だけの執事―――


パパは名高い門閥の跡継ぎで、李(リー)家の一人娘の私は、名家の慣例として執事を雇っている。


先祖代々続くこの家の習わし、それは、歳が十五を過ぎると立派な大人として認められ、専任執事(butler・バトラー)を付け社会教育を学ぶというもの。


そんな訳で一年前から彼と一緒に生活する事になったのだけど、ルックスも教養も完璧な彼を惚れない方がおかしい。


こんな素敵な彼なのに…主人(master・マスター)と執事(butler・バトラー)の関係だなんて…


もし普通に…もっと違う形で…私達が出会えてたなら…


「…パパの…ばか(ぼそっ)。」


「お嬢様?」


「な、何でもないわ…って、感傷に浸ってる場合じゃな〜い!


 ねえ、今何分になった!?」


「八時二十三分、これでは八分誤差が生じてしまいます。」


「落ち着いて言わないでよっ!」


「これは性分なものでして、失礼致しました。」


「あ〜!も〜!どうしよ〜!!!」


おたおた慌てる私に彼の腕が突然伸びた。


「え、な、何?」


すっぽり抱き抱えられた体、大きな手の感触に私は耳まで真っ赤に染める。


「お嬢様、少々手荒い真似をお許し下さいませ。


 登校時間に間に合うよう、全速力で走らせてもらいます。」


ええと…つまりこれって…俗に言うあれ…お姫様抱っこってやつじゃ…


「ちょっ、ちょっと…!」

「もう遅刻で良いっ!恥ずかしいから降ろしてよ〜っ!」


こうして麗しの執事と私の一日が、どたばた幕を開けるのでした。


この先二人を待ち受けるのは何かしら?


胸のときめくような恋?それとも…―――


†執事ネタを最強だと思うのは、私だけでしょうか;