Unknown love 
 
 
かんかんかん―――


長く遠く伸びた螺旋の階段を足早に駆け昇る乾いた音。


「はあ、はあ、はあ…」


頻繁に吐かれる浅い呼吸、今にも息急き切れそうな声。


あの男がまたここを訪れる、図書館塔の最上を訪れる。


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「ヴィクトリカ〜!」


ほら、やはりやつが来た。


「何だね、真っ昼間から騒々しい。」


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『知恵の泉』は私に、ありとあらゆる… 、考えられること全てを教えてくれる。


もちろんやつ、『久城一弥』が『二月十四日』、この日の白昼、私のところを訪ねてくることも。


「何って、今日は一年に一度の特別な日なんだよ?


 だから早くヴィクトリカに会いたくて、昼休みになるのが待ち遠しかったんだ。」


「ふん、『聖バレンタインの記念日』か、くだらぬ。」


「ちぇっ、そんな言い方しなくても…」


「お前、私にチョコレートを貰えるとでも思っていたのか?」


「えっ、ええと、あは、いや…」


「声が上擦っているな、図星か。」


「もお〜、ヴィクトリカってどうしていつもそういうことしか言えない訳?」


ぎゅっ…―――


「なっ、何をするっ!」


私を後ろから包むように伸ばされた、がっしりした腕。


「どういうつもりだ、久城っ!」


「別にヴィクトリカからチョコを貰えるなんて、期待はしてないよ。」


「?」



ふっと久城の手元に視線を落とす。


「たまにはこうゆう『バレンタインデー』も良いかなって。」


久城が手に持っていたのは、かわいらしいピンクの色紙で包装されたお洒落な箱だった。


「…あ…」


「あれれ、ヴィクトリカ、顔、赤くなってる?」


「…っ、そんな筈ないっ!!」


「まさか『知恵の泉』でも予言できないなんてね。


 僕がチョコレートをヴィクトリカにプレゼントすることを。」


「…それは皮肉か?」


「違うって、ちょっとびっくりしただけ、ヴィクトリカでも解けない謎があるなんてさ。」


『解けない謎』、確かにそうだ。


そのお陰でドレスのなかに慌てて隠したものは、余計に渡せなくなってしまった。


バレンタインにチョコを用意していたなんて、ことさら恥ずかしいこと。


それなのに、久城の不可思議な行動と心地好い体温のせいで…。


まあ、それでも良い、少しこうしていて、それから渡そう。


そう、もう少しだけ…―――
 
 
†2011年度・VD企画2〜


ヴィクトリカ、やっぱりツンデレでなくっちゃ!

 
うちの久城は受けと見せ掛けて実は、隠れ攻めだったりします(笑
 
 
このCPって、観ていてすんごくほんわかしますよね〜v