ツキミソウ
人生と云う行路、其れを代わる事は出来ないけれど、せめて…
此れこそが、私の想い…―――
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思い返せば、彼の特別な出逢いから幾星霜経て。
「到頭見付けたわ、人斬り抜刀斎、覚悟なさいっ!」
私は流浪人の貴方に、此の一処に居て欲しかった―――
「剣一本でも、此の瞳に止まる人々位なら、何とか守れるで御座るよ。」
「独りぼっちに為る位なら、危険な目に遭う方が増しよ!」
密かな暗闘に赴く貴方の後ろ影は、そこはかと無し寂然と為ていた。
其の儘、何処か彼方に消えて、遠退いてしまいそうだった―――
「拙者は流浪人、また…流れるで御座る。」
突然の『さよなら』は、胸が張り裂けそうな程、悲痛なものだった―――
貴方は迚(とて)も優しい人だから、何も彼もを自身に背負ってしまう。
其の情意が何よりも辛く苦しく、愛おしかった―――
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其れから…
「剣心、お帰りなさい…。」
「只今で御座る…。」
彼は『人斬り』と謂われる過去妄念に打ち克ち、再び『流浪人』と為て私達の元に戻って来てくれた。
だから、私は貴方の強さや脆さ、其れを総て受け止める『支え』に成りたい、心の奥底からそう思った―――
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「拙者が此の手で斬殺した妻、『緋村巴』…」
貴方の辿った道途に、私は動揺しなかった訳では無い。
だけれど…
「剣と心を賭して、此の闘いの人生を完遂する、其れが拙者が見い出した答えで御座る。」
殺めてしまった儚い命、其の贖罪は、より多くの人々を幸せにする事、其れは過酷な人生の中で見つけ出した彼の人自身の『答え』。
もう迷わず貴方を信じて行ける、共に歩むと私は決めたから――――
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「そろそろ剣心、帰って来るかしら…。」
薫は壁に掛けられた柱時計に、視線をちらりと送る。
時針はすっかり日暮れ時を指していた。
彼女が夕餉の支度でも始めようと思う頃に、丁度、玄関の戸を引く物音が聞こえて来た。
「薫殿、只今で御座る。」
「剣心、お帰りなさい。」
何時も通り門戸迄、迎え出た薫に、剣心はやや生真面目な面差しを見せる。
「…?」
「薫殿…此れを受け取っては貰えないだろうか。」
彼は提げていた手桶から、一束の花を彼女の前に、そっと差し出した。
其れは『月見草』、烟る様に咲いた美しく白い花弁。
「わぁ…綺麗だわ、剣心、有り難う…!」
丸で年端の行かぬ幼女の様に喜ぶ薫に、剣心はくすりと微笑みを浮かべながら静かに囁いた。
「月見草 乙女の傍に 朝夕と けぶり咲くかな ここ生涯に…」
そして、此処に新しい家族の誕生を、ひっそりと咲き誇る白い花が、優しく祝福していた…―――
†過去駄文のリメイクです;
月見草の花言葉は、剣薫にピッタリだと思います…
剣心は軽々しく、愛の言葉を吐いたりしないだろう…と云う勝手な憶測ですが;
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